ほとんどの時間を一緒の部屋で
玄関を開け、部屋に入ると、ぽんたは、朝出かけたときと同じように、私のベッドで横たわっていた。かけ布団がゆっくり上下しているのを見て、私は胸をなでおろした。
確かに呼吸は少し浅い。でも、今にも息絶えてしまいそうな状態ではなかった。
ツレアイは少しおおげさに言ったのだろう。それでも、外出先でランチなどしないで帰ってきてよかったと思った。
今日も私の留守中、動物病院の院長先生が往診に来てくれた。昨日と同様、皮下点滴をしてもらったが、ぽんたは抵抗したり、うなったりすることもなく、先生にちらっと視線を送っただけで、されるがままだったとツレアイは言った。
ぽんたの頭をなでながら、顔をのぞきこんだ。声をかけると目を開けて、ちょっと頭を動かしたが、起き上がる元気はないようだった。
そのあと、私はほとんどの時間をぽんたのいる部屋で過ごし、進めなければならない仕事をした。目を離している間に何かあったらと気が気ではなく、食事も簡単にすませた。
今夜は眠るわけにはいかない
夜になると、ときどき、短いしゃっくりのような動作をするようになった。目は開いたまま、一方向を向いて動かない。呼びかけても反応しない。
私は、15年前、入院中に亡くなった父親のことを思い出した。がんの末期で、主治医から「あと1週間」と告げられ、数日間は家族と普通に会話もできたのに、急に容体が変わり、昏睡状態に陥った。今のぽんたは、そのときと様子が似ていた。
今晩は、眠るわけにはいかない。
私は、ノートパソコンを抱えてベッドに上がり、ぽんたの横に座った。ぽんたの顔をのぞきこんだり、なでたり、話しかけ、その合間にパソコンに向かい時を過ごした。
午前3時をまわったころ、睡魔に勝てなくなり、服を着たまま、ぽんたの隣で仮眠のつもりで横になった。
うとうとしていると、ぽんたの呼吸が荒くなった音で目が覚めた。
ぽんたは、例のしゃっくりのような動作を繰り返す。頻度が高くなり、からだが上下に揺れる。ぼんやりとした頭に、亡くなる直前の父親の姿が浮かんだ。
私は、「ぽんた、ぽんた」と大声で呼びながら、体をさすった。
ほんの、数秒の間だった。
すうっと、ゆっくり消えるように動きが止まり、静かになった。
午前5時13分のことだった。
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