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ロックのインプロビゼーションを極めたクリームの『ライヴ・クリーム Vol.2』(OKMusic) - Yahoo!ニュース

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ジンジャー・ベーカーという3人の天才が在籍したクリームの最後のアルバムで、解散から4年も経ってから発売されたライヴ盤『ライヴ・クリーム Vol.2』を紹介する。活動期間はたった2年で、残し6枚のたアルバムうち3枚が解散後にリリースされたクリームだが、本作はそれまでのアルバムでは分からなかった、彼らの即興演奏の真髄がぎっしり詰まった名盤だと言えるだろう。
※本稿は2016年に掲載

外タレ公演が増え出した70年代初頭

今でこそ海外のミュージシャンが来日することは当たり前になっているが、僕が中学生になった頃(1970年)はそうではなかった。外タレのライヴを観に行くチャンスが少ないだけに、来日公演があると何でも観に行った人が結構いた時代である。

当時の資料を見ると、1971年からロック系の来日公演が急に増えている。これは、前年に大阪万博があったので、海外からの人の受け入れに慣れてきたからではないかと思う。本当のところはよく分からないが、2月にブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ、B.B・キング、4月にはフリー、6月にシカゴ、7月はグランド・ファンク・レイルロード(これは伝説のコンサートだ)、8月には国内最初の大ロックフェス『箱根アフロディーテ』に参加するピンク・フロイドとバフィ・セント・メリー、9月にはレッド・ツェッペリン、10月エルトン・ジョンなど、すごい勢いである。

ライヴを観に行くチャンスが少なかったから、好きなバンドのライヴ感を味わわうために、自然とライヴ盤を手にすることが多かった…かつては、そんな時代もあったのだ。

スタジオ録音とライヴ録音の違い

当時、多くのロックグループがスタジオ録音とライヴ録音ではまったく違う顔を見せていた。レコード会社はなるべく万人受けするような音で、多くのリスナーにレコードを売りたいという思惑があっただけに、スタジオ盤はおとなしくポップな仕上がりになっている場合が多かった。特に、ニューロック時代の多くのグループは、年配のレコード会社幹部にとってみれば“爆音好きの頭の悪い不良たち”みたいな感覚であったから、スタジオ盤録音時はレコード会社が管理するプロデューサーが全面的にコントロールしていた。

ミュージシャンたちも、スタジオ録音だけでは自分たちの音楽が表現できないことは認識していたから、その分ライヴで思う存分実力を発揮しようとしたのだろう。何よりそのことは、70年代前後にリリースされた多くのライヴ盤が証明している。グレイトフル・デッドの『ライヴ・デッド』(‘69)、グランド・ファンク・レイルロードの『ライヴ・アルバム』(‘70)、オールマン・ブラザーズ・バンドの『ライヴ・アット・フィルモア・イースト』(‘71)、シカゴの『アット・カーネギーホール』('71)、マウンテンの『暗黒への挑戦』('72)などをはじめとして、ロック史上に残るアルバムがこの頃に多くリリースされているが、これらはスタジオ録音盤と比べて、はるかにノリが良かったし、のびのびとロックしている様子がリスナーにもしっかり伝わった。「ロックはライヴでなきゃ!」というファンが多かったのもうなずけるところだ。

そんな中にあって、クリームの『ライヴ・クリーム Vol.2』(‘72)は、他のグループのライヴ盤よりもすごかった。何がすごいのか、その理由は当時分からなかったが、クラプトン、ブルース、ベーカーのリスナーを威嚇するようなパフォーマンスは空前絶後であった。口コミで本作のすごさは伝えられ、周りの友達はクリームのファンでなくても全員このアルバムを持っていた。また、本作に鼓舞されてバンド活動をスタートした奴も多かった。ちなみに僕もそのひとりだが、とにかく毎日毎日このアルバムばかり聴き狂っていたのだ。

あとになって知ったことだが、クリームはメンバー同士の激しい仲違いで68年11月に解散している。で、本作で使われたライヴは68年3月と10月に収録されたもの…ということは、さっき“リスナーを威嚇するようなパフォーマンス”と書いたが、この時はメンバー同士が本当にそれぞれを威嚇しながらの演奏だったのだ。3人の演奏は最高にパワフルで、このスピード感と重量感は後のハードロックの手本になったし、フリージャズにも通じるそれぞれのインプロビゼーションの技術は、ロックの在り方を大幅に変革するものでもあった。本作の圧倒的な成果が3人の険悪な状態から生み出されたものだとすれば、グループ仲が悪いほうが良い音楽ができるんじゃないかと言いたくなるね。

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