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【私の本棚】宇宙飛行士・山崎直子さん 『夜と霧』 どんな環境でも心は自由 - 産経ニュース

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 宇宙飛行士を目指して訓練を続けていた2003年、スペースシャトル・コロンビア号の空中分解事故が起きました。亡くなった乗組員には一緒に訓練を受けていた仲間もいましたし、シャトルの飛行再開もいつになるか分からない。先が見えない中で手に取ったのが、ナチスの強制収容所から生還した精神科医が書いたこの本です。環境は自分だけでどうしようもなくても、どんな状況でも自分を見失わず人生を肯定することが大切だと教えられ、共感しました。高校時代に「変えられないものを受け入れる心の静けさ、変えられるものを変える勇気、両者を見分ける知恵をください」という米国の神学者の祈りを習ったのですが、これと通じるものがあると思いました。

 本の中でショックだったのが、クリスマス後の収容所で亡くなる人が増えた話。クリスマスを過ぎたら外に出られるだろうと希望を持っていたのにかなわず、絶望が命を縮めてしまった。未来に希望を思い描くことも大切ですが、極限状態の中では今を大事に、そして自分の心を自分で保つことも大事なんですね。

 数年前、宇宙から戻った後にこの本を読み返したことがあります。人間は大変なことを終えると、あとは何でもいいと思ってしまいがち。でも、著者は収容所から生還した後、自分が思い描いていた未来はこんなものだったかを考えるのです。解放された後も気持ちを保っていられるのは、本当にすごいことです。

山崎直子さん(提供写真)
山崎直子さん(提供写真)
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 新型コロナウイルスの影響で、今は皆が先を見通せない状況です。だからこそ流行が収まった後の世界を思い描くことが大切だし、同時に今何ができるか、今にフォーカスすることも大事。重いテーマの本ですが、どんな環境にいても心は自由でいられると教えてくれる、読み返すたびに気づきがある1冊です。(ヴィクトール・E・フランク著/みすず書房)

【プロフィル】山崎直子

 やまざき・なおこ 昭和45年、千葉県出身。平成22年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗。23年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)退職後、内閣府宇宙政策委員会委員、一般社団法人スペースポートジャパン代表理事などを務める。

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