新型コロナウイルスに加え、これからの季節は風邪やインフルエンザが本格的な流行期を迎える。通勤で人混みが避けられない人や、受験を控える家族がいる人は不安なシーズンかもしれない。身近な食品成分であるビタミンやミネラルの中には、不足すると感染リスクが高まる一方で、一定以上の量をとることで防御力を上げられる可能性を持つものがある。免疫に関する最新データをもとに、賢いビタミン・ミネラル摂取で流行期に備えよう。
ビタミンやミネラル含む食品、「免疫機能に寄与」と欧州で表示
2020年10月、米国のトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことは記憶に新しい。治療のために「抗体カクテル」と呼ばれる未承認薬を投与した医師団の報告には、こうした薬とともに食品成分である亜鉛とビタミンDも処方した、と記されていた。
ビタミンやミネラルは、全身の組織が機能し、新陳代謝するための調整役として働く。中でも亜鉛、ビタミンDは欧米では「免疫維持に役立つ成分」として広く知られる。こうした栄養素と免疫の関係について、世界中で研究が行われ、それをもとにした栄養指導や、消費者にわかりやすい表示が行われている。
例えばEU(欧州連合)域内では、EFSA(欧州食品安全機関)によって、6種類のビタミンと4種類のミネラルを適量含む食品で、「免疫システムの正常な機能に寄与する」というヘルスクレーム(健康強調表示)が認められている(図1)。
一方、日本ではビタミンやミネラルは過剰摂取の懸念などの理由から、機能性表示食品の対象にもなっておらず、目下のところ何らかの免疫に関する表示も行われていない。このため、消費者自らの判断で、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が定める各栄養素の耐用上限量を超えない範囲で摂取する以外にない。
「私たちの体に備わる免疫には、体に侵入したウイルスや細菌を真っ先にやっつけようとする自然免疫と、万が一侵入したとしても排除に働く獲得免疫の2段階がある。自然免疫、獲得免疫、いずれの維持にも、ビタミンやミネラルは大きな役割を担う。中でも、特に免疫に欠かせないことを示唆するエビデンス(科学的証拠)が豊富なのが、トランプ大統領も処方されたビタミンDと亜鉛。当クリニックの患者で風邪を引きやすい人の血液検査をすると、ビタミンD、亜鉛ともに血中濃度が不足から欠乏域にあるケースが多い」と、微量栄養素を中心にその人に適した必要量を補充する治療を行う新宿溝口クリニックの溝口徹院長は話す。
日々の食事で十分な量を満遍なくとりたいところだが、実際は難しい。サプリメントなどの健康食品を利用し、ビタミン・ミネラルを補う方法を探る。
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November 04, 2020 at 01:00AM
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感染症広がる冬 ビタミン・ミネラルとって免疫力UP|ウェルエイジング|NIKKEI - 日本経済新聞
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