イモラ・サーキットで開催された、F1エミリア・ロマーニャGP。ホンダPU勢は予選では全4台がQ3に進出する活躍を見せたが、決勝レースではアルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトだけが入賞するという結果に終わった。
「初の2日間でのF1開催でした。1回のフリー走行のみでの予選・決勝という形でしたが、事前のシミュレーションをして臨みました」
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターはそう語った。
「このシミュレーションはうまくいき、4台がQ3に進出することができました。でも、フラストレーションが溜まるレースになってしまいました」
「(マックス)フェルスタッペン選手と(ピエール)ガスリー選手は、トラブルでリタイア。クビアト選手がセーフティカー走行が明けてからも良い走りを見せ、表彰台まであと一歩のところまで迫る4位。それが唯一の良い結果でした。非常に残念でした」
このイモラは、アルファタウリの地元とも言える。そんな中、ガスリーは予選4位と好位置につけ、決勝でも好結果が期待された。しかし、トラブルはスタート前から起きていた。
「ガスリーのトラブルは、ラジエターの液漏れでした」
そう田辺テクニカルディレクターは説明する。スターティンググリッドで問題の兆候は見られたが、原因を把握することができなかったという。
「データ上で水圧が下がり始めたんです。昨日の予選の時には何も問題なかったんですが……」
「グリッド上でも確認したんですが何も問題は見つからず、水圧を上げてレースをスタートさせたんですが、その後も最後までもたないというレベルで水が抜けていきました。それでパワーユニットを壊すわけにはいかないので、非常にもったいないですが、マシンを停めてもらいました」
「単純な部品の問題で、本当に地元で調子の良いガスリーのレースを失ったのは、本当に残念ですね」
「でも最近はガスリー選手が調子が良かった中、チームメイトのクビアト選手が、地元レースに貢献できたのは良かったと思います」
一方でフェルスタッペンは、今回は2番手を走りながら、タイヤバーストでリタイア。今季は史上初、イタリア国内で3レースを戦うという変則スケジュールだったが、フェルスタッペンはその全てをリタイアするということになってしまった。
「フェルスタッペン選手は、これでイタリアでのレース3戦全てでリタイア……なかなかツキがないなと。でもそれはここで終わりにして、次のイスタンブール(トルコGP)に、気持ちを入れ替えて向かいたいと思います」
なおフェルスタッペンは予選Q2で電装系部品の問題に見舞われたが、非常にイレギュラーなトラブルだったと田辺テクニカルディレクターは言う。
「きちんと耐久テストの中で、性能が維持される限界距離を見極め、それに安全率をかけて、実際にレースでは距離を決めて運用しています。普通ならばもつはずです」
「ある意味イレギュラーな問題でした。今日4台走って、1台も問題が出ませんでしたからね」
なお今回のレースで、メルセデスが2020年のコンストラクターズタイトル獲得を決めた。これで7年連続である。田辺テクニカルディレクターは、来季戦いを挑めるよう、準備したいと語った。
「あれだけ強いんだから当たり前……そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも我々もフェラーリも、その他のチームも、いつかは抜いてやろうと思って、知恵を絞って、必死に開発をするという戦いが繰り広げられているわけです」
「その中で長い期間、その座を守り続けるというのは、並大抵のことではないと思います。本当に、彼らの努力の結晶です」
「我々としては、それ以上に身を粉にして開発をしないと追いつけません。ですので来年、そこに戦いを挑んでいけるように、準備していきたいと思います」
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