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ジミー・バトラーはアンソニー・デイビスを相手にどうやってレイカーズを攻略したのか? - Sporting News JP

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2020 NBAファイナル第4戦後、私はロサンゼルス・レイカーズのアンソニー・デイビスがマイアミ・ヒートのジミー・バトラー・ストッパーに適任かもしれないと書いた。

第4戦でバトラーを抑え込んだものの、第5戦ではオールスター選出5回を誇る彼に35得点、12リバウンド、11アシストを許し、シリーズ2回目のトリプルダブルを決められた。またバトラーは、フィールドゴール19本中11本、フリースロー12本全てを成功させ、ターンオーバーはわずか3回だった。

いったいバトラーは、どのようにしてデイビスを攻略したのかを分析したい。

ディフェンスに適応

第3戦のバトラーは、アイソレーションでのミスマッチから得点を量産したレブロン・ジェームズをお手本にし、ピック&ロールから相手がスイッチをするよう仕向けた。

第4戦でもバトラーは序盤から乗っていたため、レイカーズはデイビスをバトラーにつけ、これが機能した。

サイズのあるデイビスならば、ペイント内でバトラーを抑えられる。今季のバトラーは、ペイントの外からの得点に苦しんでいる。『NBA.com』によれば、バトラーは今季ミッドレンジからフィールドゴール成功率31.7%、3P成功率24.4%と苦しみ、リーグで最も効率の悪いジャンプシューターに数えられている。デイビスがマークについていた以上、そして第3戦のようなバトラーでなければ、レイカーズは彼に好きなようにシュートを打たせた。

だが、第4戦ではシュートを決められなかったバトラーは、第5戦でそれらを成功させている。

この違いは、バトラーを絡めたピック&ロール時のヒートのスクリーンの張り方にあった。

第4戦では、スクリーンセッターがサイドラインを向くトラディショナルな形だった。

NBA Canada

ところが第5戦では、セッターがベースラインを背にするようにスクリーンを張った。

NBA Canada

ちょっとした違いだが、スクリーンをかいくぐろうとするデイビスをトラディショナルな形より迂回させることができ、これでバトラーはよりゴールに近づいてプルアップを打つことができたのだ。デイビスにとってはアンダーに回るよりファイトオーバーするほうが簡単だっただろうが、そうすればバトラーにとっては好都合で、レイカーズにとっては状況が悪化してしまう。

このケースを見てみよう。

上下で異なるのは、守備についているのがデイビスかジェームズかの違いなだけだ。

次戦でも有効か?

レイカーズからすれば、そう思いたくはない。第5戦でバトラーが成功させた11本のFGのうち6本はペイントの外から決めたものだ。ミッドレンジで5本のジャンパーを決め、1本は3Pだった。バトラーがジャンプショットを決められる状態なら、彼は抑えるのがほぼ不可能な選手のリストに加わる。

機能していること

『ESPN』のザック・ロウ記者によれば、バトラーは第4戦でハンドオフ(手渡しパス)を18回(今季最多)行なった。第5戦で何度ハンドオフを行なったかはわかっていないが、おそらく第4戦と同程度のハンドオフをスクリーナーとしてやっていたと推測できる。

もしデイビスがバトラーについていれば、ハンドオフからボールを受け取るヒートの選手をガードするレイカーズの選手に相当なプレッシャーがのしかかる。大抵の場合、バトラーのスクリーンからプレイを実行するのはタイラー・ヒーローか、ダンカン・ロビンソンのどちらかだ。

もちろん、ショットを放つ側のプレッシャーも相当なものだが、第5戦ではロビンソンが13本中7本の3Pを含む26得点を記録した。ヒーローは11本中4本のFG成功数に終わったが、ケンドリック・ナンがベンチから14得点の活躍だった。

ナンとバトラーは第2Q序盤から連携プレイを機能させ、前者がハンドオフからミッドレンジプルアップを成功させている。

数ポゼッション後、ナンは同様にハンドオフからペイント内に侵入し、今度はバトラーのレイアップをお膳立てした。

もしレイカーズがハンドオフに対してスイッチすれば、アイソレーションでバトラーに対してミスマッチを生んでしまう。こうなるとレイカーズはデイビスがどうにかしてマークする選手についていかないといけなくなるのだが、ラジョン・ロンドがスクリーンの上を通ることでナンにアタックするスペースを与えてしまう。

もうひとつの例を紹介しよう。

同じプロセスでも結果が異なるプレイだ。

デイビスはランニングショットを狙うヒーローについていくのだが、バトラーがオフェンシブリバウンドを取る絶好のポジションについている。そしてリバウンドからピンポイントパスをロビンソンに渡し、彼はこの日4本目の3Pを成功させた。

今季のヒートがレギュラーシーズンで展開したオフェンスの8.8%はハンドオフから生まれたもので、リーグ最多だった。バトラーがスクリーナーになるのは滅多にないものの、彼をこのポジションに置いた修正により、デイビスのマークに対抗できたのだ。ファイナルでのバトラーは、ガードあるいはセンターの役割でプレイすることが多く、二役をひとつのプレイでこなすこともある。高いレベルで両ポジションのプレイができる彼は、非常に独特な存在だ。

次戦でも有効か?

これこそヒートがゴラン・ドラギッチ不在の影響を一番実感している部分だろう。ロビンソンは優れた3Pシューターだが、プレイメーカーではない。ヒーローは自分でプレイを決められ、チームメイトのプレイを演出することもできるが、まだ20歳のルーキーだ。ドラギッチのような安定感は期待できない。同じことはナンにも言える。バブルでのシーズンで苦しんでいるとはいえ、第5戦でのナンはプレイオフで彼のベストだった。ドラギッチが第6戦にも出場できない場合、バトラーの重圧を減らすため、数選手がステップアップしなければならない。

選択肢

試合終盤に得点が必要だったヒートは、バトラーをハンドラーとして使う高い位置でのピック&ロールを実行する。このときバトラーのためにスクリーンをセットしたのは2選手で、左にはアデバヨ、右にはジェイ・クラウダーという配置だった。バトラーはクラウダーのスクリーンを使って展開し、マーキーフ・モリス越しにショットを決めた。

次戦でも有効か?

マッチアップのデータによれば、バトラーはファイナルでモリスを相手にFG16本中6本を成功させている。バトラーとの1対1でFG成功率を50%未満に抑えているレイカーズの選手はモリスしかいないのだが、デイビスがスイッチしてこない限り、今の彼ならショットを決められるだろう。ただ、誰がスイッチしてこようと、バトラーはアタックモードに即切り替えている。ここまでの5試合を見る限り、スイッチはバトラーを抑える手立てとして最適解ではないのだ。

原文:NBA Finals 2020: How Jimmy Butler picked the Los Angeles Lakers apart in Game 5 — even with Anthony Davis guarding him by Scott Rafferty/NBA Canada(抄訳)


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